1 被害者

女子・39歳・主婦兼看護士

2 死亡経緯

受傷後、治療中にうつ病り患、約半年後自殺

3 裁判所の判断

①逸失利益 3775万9278円

実収入を基礎に、67歳まで28年間、生活費控除率を40%として算出。

②慰謝料 1900万円

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鬱に罹患し死亡したことに対する本人の心因的要因の寄与が争われた事案。裁判所は、「自殺による死亡については、本人の自由意思によって生命を断つという側面があることを否定できず、換言すれば、本人の心因的要因の寄与によりその損害を拡大させた部分があることを否定できない」とし、「死亡による損害額の算定に当たっては、うつ病の内容・程度、治療経過のほか、本件事故以前から潜在的に存在していた住宅ローンの問題や子供の教育問題等、抑うつ状態を増強させ、遂には自殺を決意するに至らせたと考えられる諸事情を総合考慮した上で、通常人が同一の状態(自殺直前の春子の状態)におかれた場合における自殺の選択可能性との比較において、損害の拡大に寄与した心因的要因の割合ないし程度を捉え、これに応じてその損害額を減額することとするのが相当」として、本件では5割の減額を行いました。