交通事故の被害者が入院が必要な場合、大部屋分の入院費用は当然に加害者に請求できます。
それでは、個室(特別室)を使用した場合、その金額を損害として加害者に請求することはできるでしょうか?
これは、①個室にするよう医師の指示があった場合、②症状が相当重い、③空き室がどうしてもなかった等の場合には認められます。
ただし、②の症状が重いというのは、後遺障害等級で言うと、1級に該当するような場合、つまり、労働能力喪失率100%ですから、将来にわたって働くことがまったくできないであろうというほど症状が重いケースがほとんどです。
入院が必要なほどの傷病を負った場合は、誰であっても症状は重いといえるのですが、その中でもさらに重篤な場合だけ、個室分の請求が認められると言うことです。
③の空き室がどうしてもなかった場合というのは、仮にそのような事情があっても、空きが出ればすぐに大部屋に移動する等の事情がある場合です。部屋があくまでの数日程度、個室分が認められると言うことにすぎません。
ただし、個室といっても、その金額はバラバラです。比較的安い病院もあれば、個室の中でも高級な部屋、リーズナブルな部屋があります。
どんなに高くても認められるわけではありません。損害賠償法理には、「損害の公平な分担」という考え方があり、いかに被害者であっても、できるだけ損害額は増やさないようにしないと、加害者に請求したときに減額されてしまうというリスクもあるので注意が必要です。