仕事をして対価を得ている人が、交通事故の被害者となった場合、仕事ができない期間に応じて

休業損害の賠償をしてもらうことができます。

専業主婦の場合は、どうでしょうか。

専業主婦は、仕事はしていますが、仕事をしたことの対価として給料のようなものは誰からももらっていないのが通常です。

そうすると、専業主婦は、休業損害がもらえないかというと、そうではありません。

考え方としては、専業主婦がしている家事を例えば家政婦さんに頼んだらお金がかかります。

ですから、本来お金がかかる仕事を専業主婦がしていることによって、出費を免れていると考えます。

つまり、プラスの財産は入ってきていないけど、専業主婦が家事をすることにより、マイナスの支出がないんだと考えます。

そうすると、理論上は、専業主婦が家事ができないことにより、誰かに家事を頼む必要がある→出費の可能性がある。

ということで、専業主婦にも休業損害はあるのです。

具体的には、主婦の場合は賃金センサスを参考に損害額を算出します。

平成21年の賃金センサスですと、
女性学歴計  348万9000円

一番高い年代で、40~44歳は、387万1300円の年収。

これを前提にすると、例えば42歳の専業主婦は、年収387万1300円と考えますので、一日あたり1万0606円の休業損害となります。

すでに別の記事に書いたように、後遺障害が残った後の逸失利益についても、専業主婦の場合は賃金センサスを使用しますので、トータルの損害賠償額は高額になり得ます。

では、月収20万円の兼業主婦の場合は、どうなるかというと、ベースは月収ベースの算定になるのが基本です。
そうすると、月収20万円でボーナス無しと言う場合、年収240万円が算定の基礎となり、専業主婦よりも得られる賠償額が低くなる可能性があります。

兼業主婦は、外で働くだけでなく、家に帰れば家事をするのですから、専業主婦よりも賠償額が低いのはおかしいのですが、そうなってしまうこともあるのです。