交通事故の損害賠償請求実務において、「症状固定」という概念があります。

症状固定とは、治療を続けてもこれ以上はよくならないし、治療をやめても悪くもならない、という状態になったときの状態をいいます。

いうまでもなく、人間の症状の問題ですので、ある特定の日を境に症状固定といっても現実には

前日までは症状がよくなるのに、症状固定の当日にこれ以上良くならない状態になるわけではありません。

ある程度、医師の裁量によって症状固定の診断がなされます。

そうすると、症状固定後にも治療を続ける場合も出てきます。

基本的には、症状固定後に治療をしても、加害者に治療費を請求することはできません。

損害賠償実務の考え方として、症状固定前は、休業損害や治療費、傷害慰謝料を加害者が負担し、

症状固定後に症状が残った場合は、後遺障害等級に該当する場合は、後遺障害慰謝料や逸失利益を加害者が負担するという形態になっています。

ですから、症状固定後は、治療したとしても、基本的には自費で治療することになります(健康保険利用可能)。

例外的に症状固定後の治療費が認められるケースもあります。

認められる場合というのは、大きく分けると二つあります。

①一つは、症状や治療の内容からして、症状固定後の治療といっても治療費が金額的に小さい場合(数万円など)、②もう一つは、症状固定後も将来にわたり、医師の指示により定期的に通院しなければならないことがわかっている場合や、リハビリを継続する必要がある場合です。

最終的には、症状の程度・治療の必要性・治療の内容等により判断されることになると思います。