交通事故の被害者に重篤な後遺障害が残った場合、浴室やトイレが今までのままでは使えなかったり、車いすを使用しなければならないため、バリアフリーに改造する必要があったり、エレベーターを設置する必要があったりといろいろと改造する必要性が出てきます。

この場合の改造費用が損害として認められるかは、最終的には受傷の内容、後遺障害の内容や程度により判断されることになります。

○東京地裁平成22年2月12日判決は、23歳男子が四肢体幹麻痺等の症状で1級1号に認定された事案において、車椅子による生活を可能にするための工事、四肢体幹麻痺の障害を有し、体温調節ができないことから、行った工事、被害者のリハビリ用品を設置するための工事、被害者の介護のために訪問してくれる訪問介護士らの作業を容易にするための工事であって、いずれも必要合理的な内容ということができるとして、1088万2648円を損害として認めました。

○大阪地裁平成20年9月8日判決は、37歳男子が、併合5級に認定された事案において、フローリング工事費の6割に相当する26万2710円について損害として認め、浴室改造費用については認めませんでした。

○大阪地裁平成19年12月10日判決は、21歳女子が、四肢麻痺の症状で1級1号に認定された事案において、浴室、洗面所、便所および勝手口を車椅子のまま移動することができるような改装工事の施工ならびに段差昇降リフトおよび浴室リフトの設置を行う必要があるとして、430万1965円の損害を認めました。

○名古屋地裁平成17年10月4日判決は、19歳男子が、両下肢筋力消失等の症状で1級3号に認定された事案において、未だ自宅改築を行っていないが、見積書に基づいて請求した改造費用について、エレベーター設置等の見積もりは現実性に乏しいとして、575万3002円を損害として認めました。