主婦や主夫が交通事故の被害者となって、家事ができなくなった場合、休業損害はどのように算定されるのでしょうか?

家事労働は、誰からも給与はもらえません。

ですが、仮に同様の仕事を外部の人に依頼すればお金がかかります。現実には家事にはお金がかかるけれども、家族という特別な関係にあるためにお金のやりとりがないにすぎないという考え方をします。

そうすると、主婦が休業した場合にも休業損害は発生します。

問題は、その収入額をいくらと考えるかですが、女性労働者の平均賃金(全年齢平均賃金または年齢別平均賃金)を用います。

○男性が家事従事者の場合(主夫)も女性平均賃金を参考にして決めます。

○パート等をしていて月々の収入があっても、別個には算定されません。

(女性労働者の平均賃金は340万円前後と十分に高いため、その分が含まれているという考えと、パートしている時間は家事ができなかった以上、家事分の収入が減ると見ることもできます)

○子ども夫婦と同居するなどして、現実に家事を行う人が他にもいる場合は、誰がどのような家事をしているか等と合わせて、割合的な金額が認定されます。

○東京地裁平成14年7月22日判決は、パーキンソン病で寝たきりの妻の介護を行っていた71歳男子の休業村がについて、女子65歳以上の賃金センサスの80%を基礎収入とみとめ、1211万7500円の休業損害を認めました。

○東京地裁平成10年12月9日判決は、母と2人暮らしで家事をほとんど行っていた27歳女性について、賃金センサス女子労働者学歴計の全年齢平均収入を基礎に休業損害額を算定しました。