事故当時、仕事に就いていなかった人が交通事故の被害者になった場合に休業損害が認められるか?
原則として、事故時に収入を得ていない以上は、休業損害は発生しませんので請求は認められません。
ただし、
○事故時に就職が内定していた場合は、現実に働く予定であった日から、就労が可能になる暇での休業損害は認められます。
○治療期間が長くなった場合は、本人の就労意思と客観的な就労可能性から休業損害が認められる可能性があります。その場合は、今までの賃金や本人の取得資格、技能等を考慮して基礎収入額を算定することとなります。
○名古屋地裁平成14年6月7日は、住所不定で無職の被害者に対し、稼働の意欲と能力があり、従前の稼働実績もあることから、男子労働者の平均賃金センサスの50%を基礎収入と認め、70日間の休業損害について、合計53万7043円の休業損害を認めました。
○東京地裁平成13年5月30日判決は、事故時に具体的な仕事の内容が不明であった62歳の男子被害者について、60歳から64歳の男子労働者平均賃金センサスを基礎収入として、合計59万8970円の休業損害を認めました。
○京都地裁平成12年4月13日判決は、60歳男子について、定年退職で雇用保険受給期間中の事故について、雇用保険受給期間満了後は、勤労の意欲があり、再雇用の可能性があったものと認め、男子学歴計60歳から64歳の平均賃金を得る可能性があると認め、休業損害を認めました。
○横浜地裁平成15年1月31日判決は、50歳男子について、事故当時は無職であったが、事故前年に労災事故があり、労災の休業給付金日額7732円を受領していたことから、同金額を基礎収入として、事故日から休業損害を算定しました。