1 被害者 16歳男子(事故当時 高校2年)
2 傷害の内容
左腕神経損傷、右脛腓骨開放性骨折、左顔面挫滅切創、左耳介切創
3 後遺障害の内容
右下肢の短縮(13級9号)と姿勢異常、脊柱の障害(側わん症)(11級7号)、肩機能全廃(8級6号)、肘の屈曲力及び伸展力の障害(1
2級6号)、右足関節部の機能障害(12級7号) 併合6級
4 裁判所の逸失利益の認定
「原告の逸失利益は、症状固定時の賃金センサス(平成7年男子労働者大卒24歳年収額)320万7300円に、労働能力喪失率67%を乗じ、就労可能年数43年のホフマン係数(18・395。ただし、
本件事故時から労働能力喪失期間の終期までの係数から、本件事故時から就労可能期間の始期までの係数を控除した係数。)を乗じた3952万8849円であると認めることが相当である。」
「これに対し、被告は、変形障害は労働能力への顕著な影響が考えがたいとか、機能障害は将来若干の回復が予想されると主張する。しかし、被告の主張を裏付ける証拠がないし、原告の供述を検討しても、原告が努力して仕事をしているとは認められるが、労働能力への影響がないとか、将来回復が予想されるなどと認めることはできない。したがって、前記認定のとおり、労働能力喪失率67%が43年間継続すると解して差し支えないと思われる。」
5 後遺障害慰謝料 は950万円認定しました。
6 コメント
本件の後遺障害は多岐にわたり、労働能力喪失率は67%と6級の等級表の喪失率をそのまま認めました。後遺障害の内容が変形障害のみである場合は、若干喪失率が低く認定されるケースが多いと言えます。
また、後遺障害慰謝料は950万円ですが、平成24年時点では1180万円となります。減額した事情は認められませんので、当時の基準にしたがって認められた金額と考えられます。
なお、本件においては、事故の影響で高校を一年留年し、大学進学するために一年留年したことについて、2年分の減収があったとして、賃金センサスに基づき、2年分の給与である641万4600円が損害として認められています。