1 被害者 29歳・男子(症状固定時31歳)

2 傷害の内容
左鎖骨骨折、脳震盪、頭部打撲、全身打撲、両手足擦過傷、両膝挫傷及びむち打ち損傷

3 後遺障害の内容
「原告は、左鎖骨骨折、脳震盪、頭部打撲、全身打撲、両手足擦過傷、両膝挫傷及びむち打ち損傷を負ったことにより、上肢や下肢に頑固な痛み等の神経症状が残り、その症状が現在まで持続していると認められ、そうすると、本件事故と相当因果関係のある後遺障害は、後遺障害等級表12級12号の「局部に頑固な神経症状を残すもの」(労働能力喪失率14%)にとどまる」
なお、原告の主張は、「神経症状(外傷性頸髄症、外傷性頸椎椎間板ヘルニア、慢性WAD(むち打ち関連障害))が残存し、5級2号の「神経系統の機能又は精神に障害を残し、
特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの」及び5級6号の「1上肢の
用を全廃したもの」に相当するから、併合4級に相当する。」との主張でしたが、裁判所は認めませんでした。

4 裁判所の判断
① 逸失利益は、1562万4542円認められました。
「基礎収入は平成14年賃金センサス男子大卒全年齢平均674万4,700円によるのが相当である。」
「原告の後遺障害は後遺障害等級表12級12号に該当し、労働能力喪失率は14%
である」   ウ 労働能力喪失期間
「原告の後遺障害は後遺障害等級表12級12号に当たるが、その客観的所見や原告
が訴える症状に照らすと、容易に回復するとは言い難いから、67歳まで労働能力喪
失期間を認めることとする。原告は、症状固定時(平成14年7月24日)31歳で
あるから、就労可能年数は36年間(年5%のライプニッツ係数16.5469)で
ある。」
② 後遺傷害慰謝料は290万円

5 コメント
本件は、原告の症状は併合4級に該当するとして併合4級を前提に、逸失利益だけでも、1億6179万6575円を請求する内容の訴訟でした。
結果的に、裁判所は原告の症状から12級の認定をしましたが、原告の症状に照らして、労働能力喪失期間を67歳までと認定しました。通常は、12級の神経症状の場合は労働能力喪失期間が10年程度とすることが多いことを考えると、相当長期間にわたり認められた事例といえます。