1 被害者 25歳・女子(短大卒、事故時無職)
2 傷害の内容
頸椎捻挫、視力調節衰弱等
3 後遺障害の内容
眼球調節力低下(左右とも2・5ディオプター)の後遺障害を11級1号相当
4 裁判所の判断
① 逸失利益について
裁判所認定額は、689万0779円
裁判所は、「原告本人も眼の不調、頭痛、肩こり等を訴え、家事労働の一部を夫に手伝ってもらっていることが認められる。しかし、原告本人尋問の結果と経験則によれば、原告の眼の不調はコンタクトレンズと眼鏡の併用によって日常生活にさほど支障のない程度に改善されたものと窺われることができるし、原告の頭痛、肩こり等はいわゆるむち打症によるもので原告の心因的要素にも基因するものというべきものであるから、原告をとりまく環境の変化や歳月の経過に従い将来ある程度軽減されるものと推認することができ、これを覆えすに足りる証拠はない。
右のような原告の障害の部位、程度、年齢、家庭環境、症状回復の見込みないし
程度等諸般の事情を総合勘案すれば、原告の労働能力喪失割合は、後遺症状の固定
後の昭和57年10月1日から20年間は20%、その後20年間は10%とみる
のが相当である。」「短大卒の女子労働者全年齢計の平均賃金である年額232万6300円を下らない収入を得られるものと推認されるので、以上の数値を基礎に原告の逸失利益をライプニッツ式計算法により年5分の割合による中間利息を控除して症状固定時における現価を算出する」
② 後遺障害慰謝料 300万円
5 コメント
11級の労働能力喪失率は20%ですが、裁判所は、原告の症状等から、眼球調節障害については、一定程度改善されているとして、当初の20年間は20%、その後は軽減される可能性があることから10%の喪失率としました。
なお、事故時は無職であっても、その後、結婚し主婦としての仕事をしていることから賃セにより逸失利益を算定しました。