頭部外傷を負った被害者のご家族の方へ

高次脳機能障害の3つの特徴と注意点

高次脳機能障害は、手足の麻痺のように誰からもわかりやすい症状がでるわけではありません。

高次脳機能障害の特徴としては、まず①周りの人から見て、「わかりにくい」のが特徴です。すべてができない、ということであれば、周囲の人も理解しやすいのですが、高次脳機能障害の場合は「できる部分」があり、一見すると何も症状がないようにみえることがあるため、誤解を受けたり、周りの人と衝突してしまったり、社会生活を営む上で支障が生じることがあります。

次に、②本人自身も「症状」を理解していることが少ないのです。つまり、病識をもっていません。かつて、自分自身ができたことが、事故後にできなくなったという認識を本人が持っていれば、リハビリに取り組むことや、自分自身で意識的にできないことを自覚して、注意をすることもできますが、認識がないのが特徴です。

また、③入院中などの生活では、症状に気づかないことも多く、「後遺障害」があることすら、見逃される可能性があります。 当然のことですが、もともと、人の能力や性格は、その人ごとの個人差があります。

被害者の方の事故前の状態と事故後の状態を比較して把握できるのは、多くの場合は家族などの、被害者の身近にいて、長い時間接していた、そして現在も長く接している人です。 ですから、頭部に外傷を負われた方のご家族は、高次脳機能障害が残る可能性も視野に入れて、被害者のことをよく見ていく必要があります。

どんな症状が現れるのかの知識も持っていただいて、症状の見落としがないようにしていくことが、今後の被害者の生活(リハビリの必要性、日常生活の注意点)にも賠償の面でも重要となります。

また、高次脳機能障害による具体的な症状を一見すると、「誰でもしそうなミス」に見えることがあります。しかし、高次脳機能障害を負っている人とそうでない人の「ミス」は決定的に違います。

たとえば、記憶障害で「やかんを火にかけていたのに、テレビを見ていたら忘れてしまった」というものがあります。これは、誰にでもおこることです。しかし、障害を負っていない人は「あー。しまった。そうだった。やかんを火にかけていたのに、忘れていたなんて。気をつけないとまずいな。」と思うことでしょう。それが、高次脳機能障害を負っている人は、「やかんを火にかけたことを完全に覚えていない」のです。「なんで、やかんが火にかけたままになってるの?誰が火にかけたの?」というように、まったく覚えていないのです。

他の症状についても、言葉にしてしまうと、「誰にでもそんなことはあるでしょう」と言えるようなものが多いのですが、症状は深刻です。 障害を負っていない人にとっては、笑い飛ばせるような話で、誰にでもそんなことはあるでしょうといえるものでも、高次脳機能障害を負っている人の場合は、日常生活に支障を来すレベルのものであることを理解していただければ、と思います。

家族が知っておくべき高次脳機能障害の10の症状

(1)注意障害

(2)記憶障害

(3)遂行機能障害

(4)社会的行動障害

(5)失認

(6)失行

(7)失語

(8)失読失書

(9)地誌的失見当

(10)病識欠如


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