1 被害者

49歳・男子・会社役員

2 傷害の内容

右肩捻挫、頸椎捻挫、右示指捻挫

3 後遺障害の内容

原告は、本件事故当時、既に骨棘により脊柱管が比較的狭い状態であり、

椎間板ヘルニアを発症しやすい状態であったと認められる。

4 裁判所の判断

①逸失利益の算定

裁判所は、逸失利益として818万2720円を認めました。本件被害者は年収で1600万から1700万円程度の収入がありましたが、裁判所は、労働対価部分は賃セも考慮して、700万円程度であるとして、700万円を逸失利益算定の基礎としました。

被害者に「減収がないからといって逸失利益を一切認めないとすることは相当ではな

く、生活上の不便、将来の減収の可能性等を考慮して、就労可能な67歳までの18年間にわたり、労働能力を10%喪失したと認めるのが相当である。

そして、逸失利益の基礎収入については、平成4年の賃金センサス・産業計・企業

規模計学歴計・男子労働者全年齢平均賃金が544万1、400円であることも考慮

して、年間700万円をもって労働の対価部分であると認めるのが相当である。」

② 後遺障害慰謝料  220万円

5 コメント

本件は、逸失利益算定の基礎となる収入を、被害者の年収の半分以下の700万円としています。他方、労働能力喪失期間を67歳までの18年間とみていることは、一般的にむちうちを原因とする12級の場合の労働能力喪失期間が10年程度であることからすると、この点でバランスをとったと見ることもできます。