1 被害者

57歳・男子・会社役員

2 傷害の内容

右大腿骨骨幹部骨折、中心性肝破裂、右足中足骨骨折疑

3 後遺障害の内容

両肩関節、右足関節、右手に機能障害、右大腿等に創瘢痕

自賠責の認定は14級。裁判所は12級と認定した。

4 裁判所の判断

① 休業損害について

「休業損害算定における基礎収入について判断するに、原告竹内は、本件事故当時、原告有限会社竹内商店の代表取締役として稼動し、月額55万円の報酬を得ていたものであり、そのうち月額50万円(年額600万円)は労働対価部分に相当するものと認められる」

②逸失利益についての判断

 

裁判所は、逸失利益として774万0600円を認めました。

「原告竹内の後遺障害は、自賠責保険に用いられる後遺障害別等級表12級に該当し、原告は、右後遺障害によりその労働能力の14%を症状固定時(57歳)から稼動可能期間である12年間にわたり喪失したものと認められる」

 

③ 後遺障害慰謝料 230万円

 

5 コメント

会社役員の休業損害や逸失利益を算定する場合には、その基礎になる収入額として役員報酬額のすべてが認められるわけではありません。労働の対価部分と配当部分に分けて、事故による減収の影響は労働の対価部分のみと判断します。本件では被害者の月額給与55万円のうち、50万円を労働の対価と認定して、休業損害や逸失利益を算定しました。