男子の外貌醜状障害について逸失利益を認めた大阪地裁平成6年4月25日判決を紹介します。

1 被害者は5歳男子でした。

2 傷害の内容は、

顔面外傷、全身打撲、口腔内外傷、上顎前歯抜去、上顎歯槽骨骨折、下顎骨骨折であり、
入院50日間、通院55日間の傷害を負いました。

3 後遺障害は、外貌醜状痕(12級3号)と歯牙障害(12級3号)で併合11級と認定されました。

4 裁判所は、逸失利益の認定について、

頭部醜状痕、構音障害について、「将来の職業選択を狭めたり、収入を減じたりする可能性もあるところ、前記の程度であれば、構音障害がある程度残存することも参酌して、稼働年齢である18歳から就労可能年齢である67歳まで、平均して、原告主張の基礎収入である196万9,900円の10%の労働能力を喪失したと認めるのが相当」と判示しました。

5 具体的な逸失利益の認定額は¥1,969,900(S63賃金センサス産業計・企業規模計・男子労働者18歳から19歳の年収額)196万9900円を基礎に、労働能力喪失率を10%、期間を49年間(18~67歳)としました。

認められた金額は、355万0744円でした。