1 被害者 22歳・女子
2 傷害の内容
脳挫傷、右鎖骨骨折等
3 後遺障害の内容
高次脳機能障害2級、右鎖骨変形、複視12級
4 裁判所の判断
① 逸失利益について
被害者「は、本件事故による傷害の症状が固定した25歳から67歳までの42年の
就労可能期間において、労働能力を100%喪失したというべきである。」
被害者「は書道に関して有していた才能を大学での課程を通じ更に高めて特別な技能として修得するに至っていたことに照らすと、」被害者「は、上記の期間を通じ、平成14年賃金センサス第1巻第1表の大学を卒業した女性の労働者の全年齢の平均年収額である446万5,000円に1割を加算した金額に相当する収入を得ることが可能であったと推認することができる。」として、8557万4046円を認めました。
② 後遺障害慰謝料 3000万円
③ 将来の介護費用
「本件事故による傷害の症状が固定した後の」被害者「の61年の余命(平成16年簡易生命表により認める。)における介護料については」、被害者の母が「67歳に達する平成26年までの10年については、その期間を通じ1日当たり6500円として、その後の」被害者の余命期間については、被害者の母の介護も限られた範囲ではあれ相応の期間は可能と見られることを考慮し、1日当たり1万5,000円として、7996万568円を認めました。
5 コメント
本判決の特徴的なことは、逸失利益の算定において、通常は賃金センサスを基礎収入として算定しますが、被害者が書道について特別な才能を有しており、大学の課程を通じてさらに高めて特殊な技能を有していたことを理由に、大卒女子平均賃金センサスをそのままもちいるのではなく、1割分を増額して基礎収入を認定したことです。