1 被害者 52歳・女子・主婦

 

2 傷害の内容

右頬骨骨折、右腰部・右下腿・上腕打撲、頸椎捻挫

 

3 後遺障害の内容

右眼窩下神経支配域の知覚鈍麻・14級

 

4 裁判所の判断

①逸失利益について

本判決は、逸失利益を174万3341円と認定しました。

「原告の後遺障害の内容及びその後遺障害につき損害保険料率機構により14級10号の認定がされていること並びに原告が専業主婦であることに照らせば、原告の本件事故における労働能力喪失率は5%をもって相当とする。」

「労働能力喪失期間については、原告が前記症状固定日に53歳であること、前提事実(3)の原告の後遺障害の内容及び原告が専業主婦であることに照らせば、就労可能年齢67歳までの14年間(ライプニッツ係数9.8986)をもって相当とする。

「原告が専業主婦であること及び賃金センサス平成13年第1巻第1表産業計・企業規模計・女性労働者・学歴計・全年齢の平均年収が352万2400円であることに照らせば、原告の逸失利益おける基礎収入は年収352万2400円とするのが相当である。」

 

5 コメント

後遺障害が14級の場合、労働能力喪失期間は5年となる場合が多いのですが、これはむちうちの神経症状の場合が圧倒的に多いためです。本件は、右頬骨骨折があり、神経症状もむち打ちではなく、右眼窩下神経支配域にあらわれた症状であるため、67歳までの喪失期間を認めたものと思われます。

なお、被害者は、頬骨骨折による手術の後に、鼻が低く見えると言うことで、鼻を高く細く見せる手術をしましたが、本判決は同手術と事故の因果関係を否定しています。