1 被害者

60歳(症状固定時)・女子・兼業主婦

2 傷害の内容

左膝後十字靭帯損傷、右膝内側半月板損傷

3 後遺障害の内容

歩行時痛、正座不能、膝不安定性の後遺障害(12級7号)

4 裁判所の判断

① 逸失利益についての判断

本判決は、逸失利益として379万8708円を認めました。

基礎収入としては、「原告が60歳の主婦であり、かつ、月額10万円程度の清掃業務による稼働収入を得ていたことからすると、平成10年女子労働者学歴計・年齢別(60歳から64歳)の年収である288万8、400円を用いるのが相当である。」

労働能力喪失率は、12級の等級表のとおり、14%と認めました。

労働能力喪失期間は、「原告は、症状固定時60歳であり、平均余命の半分である13年(ライプニッツ係数9・394)をもって労働能力喪失期間とする。

被告は、労働能力喪失期間は67歳までの7年間とすべきである旨主張する。し

かしながら、現段階では家事労働という形で発揮しているために対価を得ていない

ものの、専業主婦がその稼働能力を労働市場で様々な形で発揮すれば相当な対価を

得られる実態を有する場合には、その喪失した稼働能力を逸失利益として評価すべ

きであるとの考え方を基礎としているのであるから、専業主婦の稼働能力が、一般

の現実労働者のそれとは異なり、67歳を超えた段階で当然に失われるものと考え

ることは不合理であり、被告の主張は採用できない。」として13年間について認めました。」

 

②後遺障害慰謝料 270万円

5 コメント

本判決の原告は60歳ですが、67歳までの期間と平均余命の2分の1の期間を比較して長い方を労働能力喪失期間とするのが通常ですので原則にしたがって、平均余命の2分の1である13年を認めました。