11歳の男子・14級について、労働能力喪失率7%、期間67歳までの逸失利益を認めた岡山地裁平成15年2月25日判決を紹介します。

1 被害者 11歳・男子(症状固定時16歳)

2 傷害の内容

頭蓋底骨折、脳挫傷、脳脊髄液漏出、外傷性くも膜下出血、外傷性小脳失調症

入院55日、通院22日

3 後遺障害の内容

右小脳症状(軽度の歩行失調行為、鼻指鼻試験測定障害)  14級の認定

4 裁判所の逸失利益に関する判断

被害者の後遺障害は右手、右足に現れているものであるが、右足の歩行障害は軽度であったこととその後の被害者の回復訓練によってある程度改善されてきていることなどを勘案すると、被害者の後遺障害は、症状固定日から67歳に達するまで51年間を通じて、労働能力7%を喪失したものと認めるのが妥当と判断しました。

逸失利益の算定基礎は平成2年賃金センサス・大卒・男子労働者を用いて、612万1200円とし、喪失率を7%、期間を症状固定時の16歳から67歳までとし、760万3577円の逸失利益を認めました。

5 コメント

一般的に、14級はいわゆるむち打ち症が多いため、労働能力喪失率5%、期間は5年とされるケースが多いのですが、本件はもともと脳に外傷を負っており、けがの程度が重かったことや、現実に残る障害も歩行障害であるため、喪失率、期間ともに通常の14級の事例よりも相当大きな損害額が認定されています。