小学生、中学生、高校生、専門学校生、大学生などが交通事故の被害者になった場合、
入院したり、自宅で療養したりすることを余儀なくされ、通常どおり登校することができなくなった結果、学校の授業について行けなくなったり、留年したりすることがあります。
このような場合に認められる損害としては、①学習の遅れを取り戻すために学習塾などにかよったり、家庭教師をつけたりするための費用、②留年したことにより、余分にかかった授業料等、③就職が遅れたことにより、本来は得ていたはずの給与をもらうのが他の人より遅れた場合の逸失利益等があります。
いずれも、傷病の内容、程度、年齢等に照らして、相当性が認められる場合に損害となります。
○名古屋地裁平成15年5月30日判決は、大学の音楽学科に在籍していた女性が、頚椎捻挫等で通院したことにより、大学を留年せざるを得なくなった事案において、1年間の留年期間に大学に支払った授業料、実験実習費、諸会費等合計120万8000円を支出した事案において、120万8000円を事故と相当因果関係のある損害として認めました。
○東京高裁平成14年6月18日判決は、21歳男性が、事故のために自動車教習所の課程を修了できなかった事案において、既に支払済みだった自動車教習所の代金32万9410円を損害として認めました。
○山口地裁平成4年3月9日判決は、3歳の女児が植物状態となり、親がその子どもに付きっきりになる結果、他の2人の子どもを保育所に預けなければならなくなった事案において、満4歳までの保育料として240万0800円の請求をした事案において、166万2540円を損害として認めました。
○名古屋地裁昭和63年9月16日判決は、21歳の大学生が事故により留年を余儀なくされた事案において、授業料74万3500円、卒業が遅れたことによる逸失利益242万6500円など合計357万8800円を損害として認めました。