交通事故の発生により、被害者やその家族が予定していた旅行に行けなくなりキャンセルした場合に、キャンセル費用を加害者に請求できるか、という問題があります。

これについては、一定のキャンセル料については損害として認められます。

○東京地裁平成4年7月25日判決は、家族旅行で清里に行く途中に事故にあった被害者について、すでに申し込んでおり宿泊予定だったペンションのキャンセル料として、3万1600円支払ったという事案において、全額を損害として認めています。

○大分地裁平成6年9月30日判決は、事故により第三腰椎圧迫骨折等を負った男女が予定していた旅行に参加できなくなり、ツアーのキャンセル料として21万6000円支払った事案において、全額を損害として認めました。

○東京地裁平成15年9月2日判決は、事故により36日後に予定していたハワイ旅行をキャンセルせざるを得なくなり、キャンセル料として支払った金額のうち、10万円と事故と関係のある損害として認めました。

○東京地裁平成14年1月22日判決は、母が事故により死亡した事案について、子が海外出張をキャンセルしたことに伴う損害金として、航空券代からキャンセルによる返金を受けた残額の10万6000円を損害として認めました。