1 被害者
37歳・男子・会社役員 (ラーメン店経営)
2 傷害の内容
頭部外傷、左肘・腰臀部・左大腿打撲・右足関節打撲擦過傷
3 後遺障害の内容
頚部、腰部の神経症状(14級)、両膝の神経症状(12級)
4 裁判所の判断
① 逸失利益について
486万0492円を認めました。
・労働能力喪失率
原告の後遺障害は、頸部、腰部の神経症状についてはそれぞれ14級10号、両膝の神経症状については12級12号に該当する程度であると認められ、その内容、程度のほか原告が本件事故当時、ラーメン店を経営し、自ら調理等に従事していたことにかんがみれば、労働能力喪失率は14%とするのが相当である。
・労働能力喪失期間
原告は症状固定時37歳であり、前記アのとおり、14級10号に該当する頸部、腰部の神経症状のほか、両膝の後遺障害が器質的な傷害によるものであると認められること、現在も前記ような症状を訴えていることからすれば、短くとも、症状固定後7年程度は、労働能力への影響が存在するものと認められる。
・基礎収入
原告は、高校卒業後、食品会社勤務、スーパーの共同経営、運送会社のセールスド
ライバーを経て、平成11年12月16月、Wを設立し、ラーメン店を経営していたことが認められ、役員報酬は、前記Wの確定申告書の決算報告書上は、平成12年5月から平成13年4月までの1年間が560万円、平成13年5月から平成14年4月までの1年間が520万円とされているが、本件事故前にはラーメン店の業務は主に原告が行っていたと認めることができ、前記決算報告書には、実際には原告の収入とも見られる妻の役員報酬200万円ないし240万円が計上されていること、前記(4)のとおり、市民税等の課税証明(平成14年度)によれば、原告の年間の給与収入は600万円とされていることにかんがみれば、基礎収入は600万円とするのが相当である。
② 後遺障害慰謝料 290万円
5 コメント
本判決は、労働能力喪失率を14%とし、この数字は自賠責等級表の労働能力喪失率と同じです。また、期間については7年とし、神経症状の場合は10年程度みとめる判決が多いことからすると若干短いといえます。ただし、基礎収入額の認定においては、会社役員であるにもかかわらず、収入額の全額(妻の給与も本人の収入に加味)を基礎収入と認めていることを考えれば、全体としてはバランスのとれた内容になっています。