1 被害者

35歳・男子・会社員

2 傷害の内容

右肘関節肘頭骨折等

3 後遺障害の内容

裁判所の認定 「症状固定時、自覚症状として右肘関節可動域制限、右肘関節の軽度動作時痛、右手第4、第5指のしびれ感があり、右肘関節の可動域は、自他動とも伸展が右マイナス50度、左0度、屈曲が右95度、左145度であった。」「原告は、右肘関節の機能に著しい障害を残したものとして、右障害は等級表10級10号に該当する」

4 裁判所の判断

①逸失利益について

裁判所は逸失利益として1809万1435円認めました。

「原告の属するソフトウェア業界は日進月歩の激しい技術革新がなされており、原告の現在の職が続く保証はなく、原告が転職を余儀なくされた場合、右手肘の障害が就職に際してハンディキャップとなることは疑いないと主張する点は社会通念上首肯できないではなく、また原告本人尋問の結果によれば、S会社の定年年齢は55歳と定められていることが認められるから、原告は、症状固定時から55歳までは労働能力の12%を喪失したものとして算定し、またそれ以後は67歳までの間平成8年賃金センサス・産業計・企業規模計・学歴計・55ないし59歳の男子労働者の平均賃金である657万1,200円を基礎に、労働能力の27%を喪失したものとして算定するのが相当であり、それぞれについて右期間に相当する年5分の割合による中間利息を新ホフマン方式により控除する」

② 後遺障害慰謝料 640万円

5 コメント

本判決は、被害者の勤務する会社の定年が55歳であったことから、労働能力喪失率を算定するに当たり、55歳まで12%、その後67歳まで27%と二段階にわけて算出しています。