1 被害者 78歳・女子・家事従事者(症状固定時79歳)

 

2 傷害の内容

右前腕挫傷・左骨盤骨折・右大腿骨転子下骨折・右膝高原骨折・右腓骨骨折・左大腿骨顆上骨折・胸腹部打撲

 

3 後遺障害の内容

右膝関節の機能障害(12級7号)、右股関節の機能障害(12級7号)

11級相当であるとの事前認定を受けた。

 

4 裁判所の判断

 

① 逸失利益

逸失利益 149万0,162円

被害者「の前記家事労働に対応する収入としては、平成12年賃金センサス

第1巻・第1表における産業計・企業規模計・学歴計による65歳以上の女性労働者

の平均年収286万8,300円の4割に当たる114万7,320円とみるのが相

当である。」

被害者は、「症状固定時79歳であったところ(前記第2の1(3))、平成12年

簡易生命表によれば、79歳の女性の平均余命は、11.31年であるから、亡宮下

は、本件事故による受傷がなければ、その2分の1に相当する5年間は十全な就労が

可能であったものということができる。」

被害者の「後遺障害の程度は11級相当とされているが」すでに認定した事実に被害者の「年齢、労働実態などを併せ考慮すると、労働能力喪失率は、30%程度と評価するのが相当である。」

 

② 後遺障害慰謝料 500万円

被害者「の後遺障害の部位・程度や年齢、職業など本件に顕れた一切の事情を考慮す

ると、後遺障害慰謝料としては500万円が相当である。」

 

 

5 コメント

本判決は、症状固定時79歳の家事従事者の基礎収入を賃セの4割と認定し、労働能力喪失率を30%と認定しました。11級の等級表による労働能力喪失率は20%であることを考えると、高い喪失率を認めたといえます。なお、本判決においては、原告が主張していた介護費用や、自宅改造費、自動車改造費等を認めなかった代わりに、後遺障害慰謝料において考慮し、500万円を認めました。