1 被害者 18歳・女子

 

2 傷害の内容

全身打撲、出血性ショック、骨盤骨折、左脛腓骨開放性骨折、左下腿広範囲皮膚剥脱創、左膝窩動脈断裂、左内側側副膝靱帯断裂

 

3 後遺障害の内容

1下肢を膝関節以上で失ったとして後遺障害別等級表4級5号と認定された

 

4 裁判所の判断

 

①逸失利益について

「本件事故により左下肢を大腿部の膝上から失なうとの後遺障害別等級表4級5号の後遺障害等を残したのである。もっとも、同原告は、自動車の運転ができて、家業の手伝い程度の就労が可能であり、また、放送大学の授業を受けているのであって、同等級表による92%の労働能力が喪失したと認めるのは困難である。しかしながら、これらの点は同原告の努力によるところが大きいものと推認され、これを過大評価して労働能力喪失割合を下げるのは適当でないこと等も考慮すると、同原告は、右後遺障害の結果労働能力が85%喪失したものと認めるのが相当である。」として、労働能力喪失率85%を認定しました。

そして、同原告は、本件事故当時専門学校に通学していたのであって、本件事故がなければ、同学校を平成7年3月に卒業し、4月から就職することは確実であったということができ、症状固定日が平成5年11月12日であることも考慮すると、平成5年度の女子、短大・専門学校卒業の賃金センサスによる年間342万6700円を基礎とし」、被害者の逸失利益を4750万6055円認めました。

 

② 後遺傷害慰謝料 1450万円

 

5 コメント

等級表によれば、4級の労働能力喪失率は92%ですが、裁判所は原告の具体的な症状(自動車の運転ができる、家事の手伝いができる、放送大学の授業を受けている)等から92%は高すぎるが、被害者の努力によるものが大きいとし、85%の労働能力喪失率を認めました。