1 被害者 39歳・女子

 

2 傷害の内容

左上腕骨粉砕骨折等

 

3 後遺障害の内容

12級12号 「頑固な左上腕部痛、左肘関節部痛及び運動制限、左前腕部痛、左手のしびれ感、筋力低下等の症状が認められ、また、他覚的所見として、X線写真にて左上腕骨遠位3分の1の変形治癒(化骨形成が悪く骨癒合はかろうじて得られている程度)が認められ、握力は右20kg、左13・5kgに低下していることが認められる。 左上腕骨の骨折は治癒しているが、正常よりもかなりの骨欠損があり、正常の右上腕骨と比較して細くなっており、頑固な痛みにより満足に筋力訓練ができなかったため筋力の回復が得られず筋力低下が残存し明らかにその強度は正常より劣っている。」

 

4 裁判所の判断

① 逸失利益について

裁判所は、425万3782円を認定しました。

原告には、「12級相当の後遺障害が残ったものと認められ、原告は、症状固定時(満43歳)から満67歳まで24年間、その労働能力の14%を喪失したものと認められるから、昭和62年賃金センサス第1巻第1表・産業計・企業規模計・女子労働者旧中新高卒・満35~39歳の平均年収である267万6500円を基礎として、休業損害を算定する」

 

② 慰謝料 500万円(傷害慰謝料と後遺障害慰謝料を一括で認定)

「原告は二男であり重度の肢体不自由児である原告●が生後4か月から約9年間以上にわたり同人の身体障害が進行するのを最小限に防ぎ、身体機能の発達を促すため、介護及び訓練に最大の努力を傾けてきていたにもかかわらず、本件事故のため、訓練はもとより十分な介護を行うこともできなくなったこと、そのため、原告●の身体機能には後退がみられるようになったこと等の事実に徴する」と100万円を増額しました。