1 被害者 18歳・男子・事故当時は予備校生
2 傷害の内容
第12胸椎破裂骨折、脊髄損傷
3 後遺障害の内容
両下肢足趾完全麻痺、知覚麻痺、膀胱直腸障害 (1級1号)
4 裁判所の判断
① 逸失利益
裁判所の認定した逸失利益の額は9892万2597円
逸失利益算定の基礎収入として、次の理由から男子大学・大学院卒年齢平均を採用しました。
「原告太郎は、本件事故当時大学入学を目指して浪人中であったが、塾の大学受験料トップレベル国公立大医進コースに在籍していたことが認められる上、昨今の大学進学率等に照らすと、大学に進学できた蓋然性があるといえるから、基礎収入は症状固定時の平成19年度賃金センサス男子大学・大学院卒全年齢平均680万7,600円によるのが相当である。」
② 後遺障害慰謝料 2800万円
③ 将来の介護費用
裁判所の認定額は1億0363万7917円
「原告太郎は上肢に麻痺等はないため、一部の日常生活動作は自立しており、手動装置により車を運転することも可能である。しかしながら、両下肢が麻痺しているために車椅子での移動を余儀なくされており、これに加えて、膀胱直腸障害があるため、排便排尿が自力でできない状態である。そのため、原告一郎及び同花子は、原告太郎の入浴、摘便等に1日に2ないし3時間を要しているほか、起床後の失禁の後始末等に相当の時間を要している。」
「原告太郎の後遺障害の内容、程度、原告太郎の体格等による介護の内容、負担等に照らすと、現時点では近親者介護を中心としつつも一部職業付添人によることが相当である。また、原告一郎及び同花子の年齢に照らし、将来的には職業付添人による介護の割合が増えることが見込まれる。 以上の点に照らすと、平均余命60年につき1日当たり1万5,000円の介護費用を認めるのが相当である」