1 被害者
39歳女子・主婦(症状固定時41歳)
2 傷害の内容
右足関節開放性脱臼骨折、右足内側楔状骨骨折、右膝打撲挫傷、右腓骨骨折等
3 後遺障害の内容
右足関
節の可動域制限(しゃがめない、正座困難、2時間以上立っていられない)、
、右足関節部の疼痛、歩行時痛などについて12級、右下肢の醜状障害について14級、併合12級
4 裁判所の判断
① 逸失利益について
本判決は、逸失利益を691万1730円認めました。
・基礎収入については、「後遺障害逸失利益算定上の基礎収入としては、賃金セン
サス平成17年第1巻第1表の女性労働者学歴計全年齢平均賃金額である343万
4,400円とするのが相当である。」
・労働能力喪失率について、裁判所は「 原告は、上記疼痛、歩行時痛、可動域制限等の障害のため、しゃがめない、正座が困難、2時間以上立っていられない等の症状も生じており、丙川米穀店での就労、家事労働及び日常生活を行う上で、相当程度の制約を受けている。 以上の後遺障害の内容、程度を総合すると、後遺障害逸失利益算定上の労働能力喪失割合としては、原告の主張するところに従い、14%とするのが相当である」としました。
・労働能力喪失期間については、「被告らは、原告の労働能力喪失期間は、最大にみても10年間であると主張する。 しかし、原告の受傷内容は約3か月間の入院を要する程度の複数の骨折であり、現在も右足関節にボルト3本が残置され、その骨折部位において、疼痛、歩行時痛、足のむくみ等の神経症状が出ているものであり、また、神経症状のみならず前記可動域制限も生じているものであること、原告の後遺障害に関し、丁原医師は、後遺障害診断書(甲7)の増悪・緩解の見通しなどを記載する欄において、可動域制限と痛みが残存し、今後、変形性足関節症となるため再手術を要する旨を記載していること、丁原医師は、平成16年12月7日付けの書面(乙3の3)においても、抜釘して症状
固定となった後の見通しとして、関節内骨折のため、今後、変形が進み、足関節の痛
みが強くなり、手術になる可能性がある旨を記載していたことを総合して考慮すると、
原告において、今後、上記後遺障害による労働能力喪失の程度が改善するものとは認
めがたく、被告らの上記主張は採用できない。
そうすると、後遺障害逸失利益算定上の労働能力喪失期間としては、41歳から6
7歳までの26年間とするのが相当であ」るとして、67歳までの26年間について認めました。
5 コメント
本判決は、逸失利益について、右足の瘢痕についても考慮しているのかどうか、判示していません。顔面の醜状痕等とは異なり、右足内側の瘢痕のみであったとしたら、逸失利益を認めてもらうのは困難である可能性があります(もちろん、ケースバイケースだとは思います)。