1 被害者

38歳(症状固定時39歳)・男子・会社役員

2 傷害の内容

左膝関節内脛骨外顆粉砕陥没骨折、左肩挫傷

 

3 後遺障害の内容

、左膝関節外側部の関節面

の陥凹、前十字靱帯損傷、外側半月板損傷に伴う動揺関節によるものと捉えられ、動

揺性の程度、装具の装着状況等より、左膝関節の用を廃したもの 8級7号

4 裁判所の判断

① 逸失利益について

本判決は逸失利益として8044万9740円を認めました。

「高校卒業以降土木の仕事に従事し、本件事故当時、主として民間委託された施工管理業務等の業務を自ら遂行したり、外注者に対して指導・助言等の支援を行い、原告会社から役員報酬として月額100万円受領していたところ、本件事故により生じた左膝関節内脛骨外顆粉砕陥没骨折のために左膝に装具を装着していても歩行能力は30分程度であるなど前記認定の後遺障害を負ったことからすると、原告の労働能力喪失率は後遺障害8級に相当する45%とみるのが相当である。」

「月額100万円の役員報酬については、原告会社には原告のほかはその妻がいるのみで他に従業員はおらず、実質的に原告がすべての業務を行っていたといえること、原告自ら施工管理業務を遂行し、あるいは外注している技術者に対して指導・助言を行っていたことなどの前記認定の事実関係からすると、全額について労務提供部分であると認めることができる。」

「症状固定時の39歳から67歳までの28年間(対応するライプニッツ係数は14.8981)につき後遺障害逸失利益を認めるのが相当である」と判示した。

② 後遺障害慰謝料 800万円

 

5 コメント

本判決は、逸失利益算定の基礎となる収入について、被害者の収入全額を認めました。通常は、会社役員の場合は、労働の対価部分と利益配当部分にわけることが多いのですが、被害者が代表取締役を務める会社は妻が取締役であるのみで、他に従業員がいない等の理由から、実質的に被害者本人の役員報酬は全額労務の対価であると認定しました。