1 被害者 19歳・男子(顔面醜状痕について症状固定は23歳、頚部腰部の神経症状については29歳時)
2 傷害の内容 顔面挫創、鼻骨々折、顔面骨々折、頭部打撲、外傷性頭頚部症候群等
3 後遺障害の内容
① 顔面醜状痕 右前額部15ミリ×3ミリ、右眉の上15ミリ、眉間5ミリ、右瞼5ミリ×2ミリ、右瞼9ミリ×2ミリ、鼻部15ミリ、⑦右下眼瞼5ミリ、⑧右鼻翼下15ミリ、⑨鼻部15ミリ×2ミリの瘢痕等 12級13号
② 頸部及び腰部の神経症状としてそれぞれ14級10号
併合12級
4 裁判所の判断
逸失利益を419万7146円認めました。
「前記認定の原告の後遺症を総合すると、原告は、症状固定日である平成11年11月18日から10年間は10%、その後10年間は5%、その労働能力を喪失したものとみるのが相当である。被告は、男子の顔面醜状によって逸失利益は発生しないと主張するが、原告は、醜状障害の症状固定時には23歳、上記固定日には29歳という青年であり、瘢痕は化粧品で隠すことはできるものの、人と接する際には常に化粧品を使用しなければならないこと自体不自然なことであり、原告の精神的苦痛が大きいだけではなく、男性といえども醜状痕によって希望する仕事への就職が制限されたり、就職しても営業成績が上がらなかったり、仕事の能率や意欲を低下させ、ひいては所得に影響を与えることは十分考えられ、被告の主張は採用することができない。そこで、平成11年男子大卒全年齢平均賃金である677万4、400円を基礎に逸失利益を算定すると、次のとおり上記金額となる。なお、逸失利益の現価算定については症状固定時を基準に中間利息を控除するのが通例であるが、原告が、事故時を基準に中間利息を控除する方法で逸失利益を算定して請求しているので、これに従うことにする。」
5 コメント
顔面醜状痕の逸失利益が認められるか、認められるとしてどの程度かは一律に判断することができるものではありません。具体的な症状や時代の変化によって今後も変わりうるものですが、流れとしては肯定される方向にあるように思います。