Q.二度の事故で同じ箇所を痛めたとき、保険会社との示談はどうすればいいの?

質問

 私は、平成27年1月に、信号待ちのときに後ろから追突され、首に痛みが生じました。頚椎捻挫という診断を受けました。治療をそのまま続けていた平成27年5月に、同じように信号待ちの際に後ろから衝突されました。首の痛みが前よりもひどくなりました。

 前と同じ整形外科に通院していますが、平成27年7月現在、前の事故の保険会社から、「今の痛みは後の事故のものだから、治療費支払いを打ち切る」と言われ、打ち切られました。そして、平成27年8月に前の事故の保険会社から示談の提示がありました。

 でも、私としては今の首の痛みが前の事故のものか、後の事故のものかなんてわかりません。このまま示談をしてしまっていいのかどうか、悩みます。私は、どのようにしたらよいのでしょうか? 

回答

 あなたのように、別々のタイミングで事故の被害に遭い、同じ部位に被害が生じた場合は、その事故のことを専門用語で共同不法行為といいます(事故のことを「不法行為」といいます)。
 
 これが、もし、全く別の部位に被害を生じていたということなら、誰がどの部分の損害を賠償すべきかは明らかです。例えば、第一事故で、右腕を骨折し、第二事故で、顔にかすり傷を負ったと言うような場合。
 
 ところが、二つの事故により、同じ部位に怪我をした場合、例えば、いわゆるムチウチになってしまったという場合、第二事故で、首の痛みが強くなったとしても、人間は機械ではないので、痛みの何パーセントはどちらの事故の責任という風に分けることは難しいでしょう。ましてや、被害者は医学や法律のプロではないことが多いはずですから、どうしていいか困ってしまいますね。
 
 このような共同不法行為の場合の対処のポイントは一つ。被害者は、どちらか一方の加害者に損害の全部を請求することができます。第一事故と第二事故の加害者は、それぞれ、被害者に全額の賠償をする義務があります。ただし、両方に二重に請求できるわけではありません。片方から全額もらったら、もう片方の加害者に請求できるものはないのです。
 
 加害者同士の間では、どちらの方が悪いか、同じくらいか、などということが問題になりますが、被害者はその面倒なやりとりに参加する必要はありません。片方に全額請求できるからです。もし、加害者が双方とも自動車保険に入っていなければ、資力のありそうな人に全額請求して良いのです。

 以上のように、片方に全額の損害を請求できると言うことは、裏を返すと、治療が完全に終わって、後遺障害等級の認定も終了して、「損害がいくらになったか」わからなければ、そもそも示談のしようがありません。ですから、第一事故の治療は終わったというのは、保険会社の勝手な言い分に過ぎず、第二事故も含めた全体の治療が終わってから出ない限り、示談してはいけないのです。
  
 あなたの場合も、第二事故の治療を含めて治療が終了し、後遺障害認定の有無も明らかになった時点ではじめて、示談の話をすべきです。

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