交通事故の様々なケース

Q 私の長男は、自転車で走行中、脇道から急に来た車にはねられ、頭部を13針縫うけがをしました。すでに治療は終了していますが、頭部の髪の毛が生えている部分に約10センチの傷跡が残りました。後遺障害等級に該当しますか?

A いわゆる醜状傷害の後遺障害は、頭部の場合は、鶏卵大以上の瘢痕、または 頭蓋骨の鶏卵代以上の欠損がある場合に認められます。

傷跡はいわゆる線状痕と推測されますが、線状痕の場合は、頭髪に隠れてしまう部分は後遺障害の対象にはなりません。ただし、傷跡が額の部分で3センチメートル以上あれば、後遺障害に該当する可能性があります

 

Q 交通事故により、右肩を脱臼しました。入院2日間、通院27日間で治療は終了しました。①後遺障害にはあたりますか?②慰謝料として提示されている24万3600円(4200円×2×29)は妥当でしょうか?③事故当時着用していたダウンジャケットの損傷について、請求できますか?

A 肩の脱臼の場合、習慣性の脱臼となれば後遺障害が認定される可能性があります。もう少し、通院して様子を見る必要があります。②慰謝料は任意保険会社の基準ですが、総治療日数がどのくらいの期間であったかにより、慰謝料はかわります。総治療期間が2ヶ月程度であれば、慰謝料は50万円を超えます。 ③事故が原因で損傷したダウンジャケットの費用は請求可能です。

 

Q 親戚の葬儀に出席しようと、会場に到着したところで、タクシーにはねられました。私は、遠路はるばる葬儀に来たにもかかわらず、参列することもできませんでした。他の親戚にも申し訳なく思っています。このような事情は慰謝料として考慮されないのでしょうか?

A 葬儀に出ることができなかったという事情が、慰謝料に反映されるかどうかは難しい問題ですが、基本的には難しいと思われます。

ただし、亡くなられた人との関係等によっては認められる可能性もありえます。たとえば、葬儀の場で中心的な役割を果たす喪主が被害者となった場合等は認められる可能性があると思います。

 

Q バイクに乗って走行中、突然、左側から車が飛び出してきて衝突しました。左手首を強く打って、医師からはTFCC損傷と診断され、手術しました。その後、傷害分の慰謝料を約28万円でいったん示談してしまいましたが、後で慰謝料算定の基準を教えて欲しいと保険会社に言っても教えてくれません。示談を取り消したいのですが、どうしたらいいでしょうか?後遺障害の方は現在申請中です。

A いったん示談をした部分について、無効を主張したり、取消をすることはむずかしいと考えてください。示談したときに、知識がなかった、算定の基準を明らかにしてもらえなかったとしても、無効にする理由にはなりません。

示談は、いったん交わした後は、後から変えることは基本的にできませんので、示談をする前に慎重に内容を精査したうえで、示談すべきでした。傷害部分について、示談したとしても、後遺障害が残っている場合は、別途請求可能ですので、後遺障害分については心配いりません

 

Q 3年前新車で購入した車が全損といわれました。こちらの過失はゼロです。車の価値が105万円なので、賠償金は105万円といわれました。しかし、車のローンは166万円残っており、105万では借金だけが残ってしまいます。せめて、ローン分の166万円を請求できませんか?それが無理なら修理して欲しいです。

A 自動車のような物損の場合、賠償金の最高限度は、その自動車の現在の価値までの金額になります。例えば、時価額105万円の自動車の修理代が130万円かかるという場合は、経済的全損といって、修理を要求することはできず、自動車の時価額分の105万円の賠償金しか得られません。自動車のローンがいくら残っていても、残念ながらローン残額分を支払うよう請求することはできません。なお、自動車の時価額が本当に105万円であるかどうかは、間違っている可能性もありますので、根拠を示してもらって確認してください。通常は、レッドブックといういろいろな自動車のグレードや年式別に時価額が記載された本を参考に時価額が算出されます。

 

Q 私は、任意保険と自賠責保険を同じ保険代理店に加入していました。先日、私の不注意で事故を起こしてしまいました。その後、私の自動車の自賠責保険は期限が切れていることが判明しました。保険会社と話をしましたが、任意保険は有効であるが、自賠責分は私が負担しなければならないと言われました。私は、保険代理店に全てをお任せしていたので、自賠責保険が切れていることを言ってくれれば加入したのに、保険代理店が何も言わないのに支払義務が出るのは納得がいきません。保険会社に責任を追及できませんか?

A 自賠責保険は法律上加入が強制されています。そして、加入義務があるのは、その自動車を保有しているあなたにあります。保険代理店等に責任を追及できるかどうかは、詳しい事情がわからないと何とも言えませんが、第一次的には自賠責に加入していなかったあなたに責任があります。なお、自賠責の更新は、車検の時期と重なりますので、あなたの自動車は車検を受けていなかったのではないでしょうか?被害者に対する関係では、自賠責分を負担するように言われてもやむを得ません

 

Q 先日私の不注意で事故を起こしてしまいました。任意保険は加入していませんでした。相手から車両の修理代として82万円請求されています。しかし、その車は平成10年式のホンダシビックで、すでに16万キロ乗っており、とても82万円の価値があるとは思えません。支払わなければならないのでしょうか?

A 自動車の物的損害については、最高限度の支払額は自動車の価値相当額です。修理代が価値分よりも高いときは、経済的全損といって、自動車の時価相当額分を支払えばよいのです。相手の自動車の時価相当額を調べて、その分を支払うのが原則となります。

 

Q 私の母(52歳)が事故に遭い、高次脳機能障害として3級の認定を受けました。現在は、介護といっても町のサービスが受けられるので、月5,6万円で済んでいますが、将来はこの金額で済むのか不安があります。介護費用が上がった場合、その時点であがった分を請求できますか?

A 通常は、介護費用を含めた損害賠償請求は、ある時点において将来の分を含めて一括して請求します。ですから、後になって、費用が上がったからと言って、その分を請求できるわけではありません。

ただし、介護費用に関して言うと、現在、公的な介護サービスを利用できるために低額で済んでいるとしても、裁判上は「そのような介護サービスがない」前提で損害を算定します。つまり、公的な介護サービスは将来も現在のように続くかどうかはわからないので、そのようなサービスがない前提で介護費用を算定します。そうすると、場合によっては1日あたり、1万円から2万円の介護費用を請求できますので、そもそも現時点で加害者に請求できる介護費用はかなり高額なものとなります。

ですから、あなたが心配されているような状況にはなりにくいのではと思います。

 

Q 私は先日、信号待ちのところを後から追突されてむちうちの症状になりました。整形外科に通院しています。私は有限会社を経営していますが、実質的に私一人の会社です(事務を妻がしています)。仕事の内容は、食品の移動販売です。仕入れから販売まで私が一人でやりますが、事故のために3ヶ月間休業しました。休業損害の話をすると保険会社は、会社役員には休業損害は認められないといいます。本当なのでしょうか?

A 会社代表者や会社役員でも休業損害は認められます。一般の従業員のように、何日休んだから給料をへらしたりしないことが、会社役員には休業損害は認められないとの誤解を生む理由だと思います。

しかし、会社が、一定期間仕事をしなかった会社役員に満額の報酬を支払うと言うことは、会社にとっては損害があります。会社役員が本来加害者から取得するべき休業損害を、会社が加害者の肩代わりをして役員に支払ったにすぎないのです。

ですから、仕事を休んだけれども、給与(報酬)を満額もらっていたという場合は、会社が主体となって休業損害を請求すればいいのです。

ただし、現実に認められる金額は、役員報酬を30日で割って、1日分を算出すればいいわけではありません。会社役員の報酬には労働対価分と利益配当分という二つの要素が混入しているからです。

 

Q 79歳になる私の母が交通事故に遭い、脳挫傷の診断を受けました。それまでは毎日元気に生活していましたが、寝たきりの生活になり、事故後1年経過した時点で、誤嚥性肺炎により死亡しました。保険会社からは、死亡の理由は肺炎であり事故とは関係がないといわれていますが、そうなのでしょうか?

A 事故をきっかけに寝たきりになってしまった場合、お年寄りの場合は、誤嚥性肺炎を起こすことは十分ありうることです。死因が事故と直接関係なくても、事故と死亡との間に因果関係が認められる可能性は十分あります。現実にこれを認める裁判例もあります。

 

Q 私は、先日、前方から来た車に衝突されました。私の車は新車の時からすでに11年経過していて、7万キロ乗っている軽乗用車です。加害者の保険会社は新車の価格の1割が私の車の価値だといって、12万円が限度という話をします。ですが、私がネットで調べる限り、同じくらいの年式・走行距離の同じ車種の車を探すと、大体30万近くします。差額は自分で負担するのは納得できません。

A 自動車の損害の賠償の基本は、修理代とその車の価値を比較して修理代の方が高い場合は経済的全損といって、自動車の価値相当分しか加害者に請求できません。そして、自動車の価値はレッドブックという車種、年式、グレード等が記載された本などを参考に算出されます。

しかし、10年以上経過している車など、レッドブック等に記載されていない場合は、車の時価額そのものがわかりにくいので、保険会社は新車価格の1割程度の提案をしてくることがあります。

しかし、原則は時価額を賠償することになりますので、インターネット等で同じような車を探してその金額を平均したものを請求すれば、認められる可能性は十分あります。ただし、資料を示しても保険会社は認めないことが多いでしょう。その場合は裁判にする方法を考えてください。弁護士費用特約がついている場合は、弁護士に依頼すればよいですが、ついていない場合は、弁護士費用のことを考えると、弁護士に依頼して裁判をするのは難しいかもしれません。

 

Q  私の会社の従業員が、通勤に使わせていた会社の車を使用してプライベートで交通事故を起こし、被害者に右足骨折等の重傷を負わせました。プライベートで会社の車を使ってはいけないという話を従業員にはしていました。会社は被害者に賠償責任を負うのでしょうか?

A  まず、被害者に対する関係では、会社所有の自動車を従業員に使わせていたと言うことですので、会社は「運行供用者」にあたる可能性が高いといえ、会社は被害者に対する賠償責任を負う可能性が高いといえます。民法715条の使用者責任を根拠にしても、被害者に対する賠償責任を負うことになる可能性が高いといえます。もちろん、会社が禁止していた行為を従業員がした場合に、従業員に対し、何らかの処分をしたり、会社が被害者に賠償した金額について従業員に請求することも可能と考えられます。しかし、被害者に対する関係では会社は責任を負うことになる可能性が高いでしょう。

 

Q 交通事故で半月板損傷と診断されました(他の骨折等は完治)。ヒザの内部に痛みがあり、ヒザは曲がることは曲がりますが、痛みで和式トイレを使用したり、正座をしたりすることができません。後遺障害等級は非該当という結果が届きましたが、納得できません。

A 関節鏡やMRIで半月板の損傷が診断された場合、手術をする場合と保存的療法をとる場合があります。手術をして完治した場合は、後遺障害等級には該当しませんが、保存的療法の場合は、疼痛が残存することもよくあります。

この場合、神経症状として12級または14級が認定される可能性があります。一度、非該当となっても、必要な検査や医師の診断書、意見書等をつけて異議申立をすれば、等級が認定される可能性はあります。

 

 


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