交通事故の被害者になった主婦が損しないための5つの知識
1 主婦と基礎収入について
専業主婦(家事従事者)は、収入はありません。しかし、仮に、その人が家事をできなければ、他の人に頼めば、お金がかかります。
そうすると、家事をしてもらうためにお金を払う必要がない状況は、主婦が家事をしているからだ、という考え方をします。
そうすると、主婦が仕事を休むという場合は、休業損害が発生するのです(理論上、他の人にお金を払って家事を依頼しないといけなくなるので)。
問題は、じゃあ、主婦はいくら稼いでいるの?ということです。
これは、かなり難しい問題です。難しい問題なので、裁判実務は簡単な答えで動いています。女子の賃金センサスの平均額を採用しているのです。
女子の平成25年学歴計年収額は353万9300円です。したがって、主婦は年収353万9300円あると見なされます。
2 兼業主婦の収入はどうなるか?
専業主婦は、年間353万9300円程度の収入があると見なされます。では、例えばパートで月7万円稼いでいる兼業主婦はどういう風に計算をするのでしょうか?
実は兼業主婦も専業主婦も基本は、同じように平均賃金センサスを使用します。ですので、353万9300円程度の収入があると見なされます。
ただし、兼業主婦や主婦でも、現実に稼いでいる収入が賃金センサスよりも高い場合は、その高い金額が基礎収入になることはいうまでもありません。
3 主婦の休業損害は一日いくら?
専業主婦の場合、1のとおり基礎収入は353万9300円あるとみなされますので、
353万9300円÷365=約9696円 一日あたり、9696円となります。
なお、保険会社が一日あたり5700円という金額を提示してくることがありますが、これは自賠責の基準であり、裁判基準ではありません。
また、休業損害を考える上では、兼業主婦の場合は、若干別の要素も必要になります。
例えば、パートで月7万円稼いでいる兼業主婦がいるとします。パートの方を休んでいなければ、通勤した日の休業損害は、その分だけ減ることになります。
つまり、パートで4000円稼いだ日に、家事ができなかったと言って、9696円が休業損害と主張するのはおかしいのはわかりますね?そこでこのような場合は、一定程度の調整が入ります。
また、家事はできないけど、パートの仕事はできるという状況がずっと続くのもおかしいとみられることもあるでしょう。
4 主婦と逸失利益
主婦には休業損害が認められるように、将来の休業損害という意味での逸失利益も認められます。
逸失利益は、交通事故の怪我により後遺障害が残った場合に、将来の収入減少の可能性がある事を理由に、収入の一定割合について、賠償を受けられるものです。
主婦には収入はありませんが、女子の平均賃金を稼いでいると見なされますので、休業損害が認められるのと同様に、将来の収入減少可能性もある、つまり、逸失利益が認められることになります。
5 主夫と交通事故
主夫の場合は、主婦と同じかどうか、という質問をたまに受けることがあります。
いうまでもなく、重要なのは、主婦か主夫かという性別に関することではなく(LGBTがこれだけ浸透してきた現在、性別を二つに分けること自体意味がないですが、便宜上ご容赦下さい。)、「自分以外の誰かのために家事をするかどうか」、つまり、家事従事者と言えるかどうかです。
家事従事者であれば、性別に関係なく、休業損害や逸失利益を請求することができます。ただし、ポイントは、基礎収入は、男か女かではなく、女子の平均賃金となります。性別に関係なく、家事従事者の仕事の内容は同じであるはず、と言う考え方が背景にあります。
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