損害賠償請求の各手続について
損害賠償請求の手続には大きく分けて5種類の方法があります。
①示談交渉
②財団法人交通事故紛争処理センターを利用する
③日弁連交通事故相談センターのあっせん手続を利用する
④民事調停(裁判所)を利用する
⑤訴訟手続(裁判・裁判所)を利用する
財団法人交通事故紛争処理センターによる解決
財団法人交通事故紛争処理センターとは、交通事故を専門に取り扱う裁判外紛争解決機関です。
基本的には、話し合いにより進めていきますが、あっせん委員から「あっせん案」がだされますし、合意に至らない場合は、最終的に「審査」の申立をすることができ、
審査が出された場合は、保険会社(いわゆる損保会社のうち同センターと協定を締結している場合)はその内容を拒否することはできません。
メリット
・保険会社は、紛争処理センターからの呼び出しに応じる義務があるので、民事調停のように相手がこないことが通常はない。
・話し合いがベースになるので、証拠が不足している場合も妥当な結果となることがある。
・期間的に短くて済む可能性がある。
・審査の結果は、加害者側の保険会社は拘束するが、被害者側を拘束しないので、被害者が不当な結論だと考えた場合は、拒否することができるが、
逆に保険会社が不当な結論だと考えても拒否できない。
デメリット
・あっせん委員は基本的に弁護士がなりますが、必ずしも、交通事故に精通した弁護士が担当するとは限らず、あっせん委員が誰になるかにより、結論が左右されやすい。
・東北地方においては、仙台にしかセンターの窓口がないため、仙台に赴く必要がある。
・裁判のように厳密な事実認定がなされるのではなく、「間をとった解決」になりやすい。
財団法人日弁連交通事故相談センターによる解決
日弁連交通事故紛争解決センターは、紛争処理センターに機能が似ています。
両者が違うところは、紛争処理センターが出した審査結果について、「保険会社を拘束する」と書きましたが、拘束される保険会社は○○保険株式会社という名前がついているような損保協会に加入している会社のみです。
たとえば、JA共済、全労済などの共済系の機関は拘束しません。
逆に日弁連交通事故相談センターは、審査の結果につき、JA共済や全労済等の機関を拘束します。
ですから、相手の保険会社がどこであるかにより、使い分ける必要があります。
なお、現時点に関して言うと、紛争処理センターはなかなか期日が入らず、時間がかかる傾向にあるのに対し、日弁連交通事故センターは比較的早期に期日が入ります。
(これは、状況により変わりうると思いますので、絶対的な違いではありません。)
また、比較的交通事故に精通している弁護士があっせん委員になっているケースが多く、裁判基準での解決が可能なこともよくあります。
メリット、デメリットは紛争処理センターと同じと考えて良いでしょう。
民事調停
民事調停とは、裁判所に調停を申し立てて解決する方法です。裁判所を利用しますが、強制力はありません。
メリット
・証拠が弱い場合にも、あくまで話し合いなので妥当な解決を図ることが可能な場合があります。
・裁判まで起こしたくないという人にとっても、裁判所を通した話し合いなので心理的なハードルは低いと言えます。
・訴訟ほど厳密な主張等が求められません。
デメリット
・調停委員は、弁護士等の専門家がつくケースが多いと言えますが、必ずしもそうではないので、一般の調停委員が就いた場合、交通事故の知識がない可能性があります。
・調停はあくまで話し合いのため、両者で話がととのわない場合、強制的に解決できず、結局は裁判にせざるを得ません。
・調停にする場合と訴訟にする場合とで時間や準備にそれほど差はないので、証拠がない場合などの特殊なケース以外は利用しない方が良いと言えます。
訴訟(裁判による解決)
損害賠償請求を確実に適正な額を得るうえで、訴訟は重要な手続です。
メリット
・裁判所の判決による手続なので、話が折り合わなくても最終的な解決がなされる。
・背景に判決という裁判所の強制力があるため、話し合いによる解決(和解)も期待できる。
・損害賠償額は裁判基準となるので、適切な金額の結論が出る可能性が高い。
デメリット
・事案によっては、時間がかかる。
(難しい事案であれば、2年かかることもある一方で、多くの事件は半年以内に解決しますので、それほどデメリットではありません)
・厳密に手続が進行していくので、本人が自分で対応することがむずかしい(弁護士に依頼する必要性など)
・証拠がきちんとそろっていない場合等は、損害として認められにくい。
示談交渉
示談交渉とは、加害者の保険会社と直接交渉することにより、損害賠償額を定める手続を言います。
メリット
・特に決まった形式があるわけではないので、必要な書類が揃い次第、交渉を開始できます。
・時間的には最も最短で済む可能性があります。
・示談交渉においても、裁判基準での賠償を実現することができる場合もあります。
デメリット
・何の強制力もないため、保険会社は「適正な損害額」を提示しないことがあります。
・保険会社によっては、時間だけが経過して何も決まらない可能性があります。
・時効が間近に迫っている場合は、時効を中断することができないので、別途時効中断の手続をとる必要があります。
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