慰謝料
本来、慰謝料とは精神的な苦痛を和らげるために金銭的な賠償をするものです。
いうまでもなく、精神的な苦痛は人それぞれに異なりますし、精神的な苦痛とその人の収入などは関係がないはずです。
しかし、その人の心の中を見ることは誰もできませんし、
被害者に家族がいる場合は、現実の生活の保障という意味もあります。
したがって、交通事故による慰謝料は一定程度定型化されています。
弁護士に依頼した場合、大幅に増加するのは、入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、逸失利益の3つです。
傷害の場合の慰謝料
傷害の場合の慰謝料は、入院期間、通院期間、傷害の内容、部位等によって決まります。
具体的には<表1>の通りになります(赤い本基準・むちうちの場合は<表2>になります)
入院だけの場合は入院の期間、通院だけの場合は通院の期間、入院後通院した場合は両方の交差する部分になります。 正確な計算は当事務所で行いますが、参考にしてください。
例) むちうちで通院が8ヶ月の場合は、<表2>の縦のラインを見ますので、103万円になります。
例) 腰椎の骨折で入院1ヶ月、通院6ヶ月の場合は、<表1>の入院1ヶ月の欄と通院6ヶ月の欄が交差する149万円となります。
表1 | ||||||||||||||||
通院 | 入院 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 13月 | 14月 | 15月 |
53 | 101 | 145 | 184 | 217 | 244 | 266 | 284 | 297 | 306 | 314 | 321 | 328 | 334 | 340 | ||
1月 | 28 | 77 | 122 | 162 | 199 | 228 | 252 | 274 | 291 | 303 | 311 | 318 | 325 | 332 | 336 | 342 |
2月 | 52 | 98 | 139 | 177 | 210 | 236 | 260 | 281 | 297 | 308 | 315 | 322 | 329 | 334 | 338 | 344 |
3月 | 73 | 115 | 154 | 188 | 218 | 244 | 267 | 287 | 302 | 312 | 319 | 326 | 331 | 336 | 340 | 346 |
4月 | 90 | 130 | 165 | 196 | 226 | 251 | 273 | 292 | 306 | 316 | 323 | 328 | 333 | 338 | 342 | 348 |
5月 | 105 | 141 | 173 | 204 | 233 | 257 | 278 | 296 | 310 | 320 | 325 | 330 | 335 | 340 | 344 | 350 |
6月 | 116 | 149 | 181 | 211 | 239 | 262 | 282 | 300 | 314 | 322 | 327 | 332 | 337 | 342 | 346 | |
7月 | 124 | 157 | 188 | 217 | 244 | 266 | 286 | 304 | 316 | 324 | 329 | 334 | 339 | 344 | ||
8月 | 132 | 164 | 194 | 222 | 248 | 270 | 290 | 306 | 318 | 326 | 331 | 336 | 341 | |||
9月 | 139 | 170 | 199 | 226 | 252 | 274 | 292 | 308 | 320 | 328 | 333 | 338 | ||||
10月 | 145 | 175 | 203 | 230 | 256 | 276 | 294 | 310 | 322 | 330 | 335 | |||||
11月 | 150 | 179 | 207 | 234 | 258 | 278 | 296 | 312 | 324 | 332 | ||||||
12月 | 154 | 183 | 211 | 236 | 260 | 280 | 298 | 314 | 326 | |||||||
13月 | 158 | 187 | 213 | 238 | 262 | 282 | 300 | 316 | ||||||||
14月 | 162 | 189 | 215 | 240 | 264 | 284 | 302 | |||||||||
15月 | 164 | 191 | 217 | 242 | 266 | 286 |
後遺障害の慰謝料
1 交通事故の後遺障害等級に認定された場合に、損害として認められる慰謝料は、原則として次の表のとおりになります。表が自賠責基準の慰謝料、右側の表が裁判基準の慰謝料です。
自賠責 | 裁判基準 | ||
等級 | 慰謝料 | 等級 | 慰謝料 |
14級 | 32万円 | 14級 | 110万円 |
13級 | 57万円 | 13級 | 180万円 |
12級 | 93万円 | 12級 | 290万円 |
11級 | 135万円 | 11級 | 420万円 |
10級 | 187万円 | 10級 | 550万円 |
9級 | 245万円 | 9級 | 690万円 |
8級 | 324万円 | 8級 | 830万円 |
7級 | 409万円 | 7級 | 1000万円 |
6級 | 498万円 | 6級 | 1180万円 |
5級 | 599万円 | 5級 | 1400万円 |
4級 | 712万円 | 4級 | 1670万円 |
3級 | 829万円 | 3級 | 1990万円 |
2級 | 958万円 | 2級 | 2370万円 |
1級 | 1100万円 | 1級 | 2800万円 |
表を比較していただくと、わかるように
(14級の例) むちうちで14級に認定された場合、後遺障害慰謝料は自賠責基準では32万円ですが、裁判基準では110万円となります。
(13級の例) 脾臓を摘出して13級に認定された場合、後遺障害慰謝料は自賠責基準では57万円ですが、裁判基準では180万円となります。
(12級の例) 鎖骨の変形により12級が認定された場合、後遺障害慰謝料は自賠責基準では93万円ですが、裁判基準では290万円となります。
(11級の例) せき柱の変形により11級が認定された場合、後遺障害慰謝料は自賠責基準では135万円ですが、裁判基準では420万円となります。
(10級の例) 足関節の著しい機能障害として10級が認定された場合、後遺障害慰謝料は自賠責基準では187万円ですが、裁判基準では550万円となります。
(9級の例) 顔に相当程度の醜状が残るものとして9級が認定された場合、後遺障害慰謝料は自賠責基準では245万円ですが、裁判基準では690万円となります。
(8級の例) せき柱に運動障害を残すものとして8級が認定された場合、後遺障害慰謝料は自賠責基準では324万円ですが、裁判基準では830万円となります。
(7級の例) 高次脳機能障害で7級が認定された場合、後遺障害慰謝料は自賠責基準では409万円ですが、裁判基準では1000万円となります。
(6級の例) せき柱に著しい変形を残すものとして、6級が認定された場合、後遺障害慰謝料は自賠責基準では498万円ですが、裁判基準では1180万円となります。
(5級の例) 高次脳機能障害で5級が認定された場合、後遺障害慰謝料は自賠責基準で599万円ですが、裁判基準では1400万円となります。
(4級の例) 片方の足を膝関節以下で失い、4級が認定された場合、後遺障害慰謝料は自賠責基準で712万円ですが、裁判基準では1670万円となります。
(3級の例) 高次脳機能障害で3級に認定された場合、後遺障害慰謝料は自賠責基準で829万円ですが、裁判基準では1990万円となります。
(2級の例) 1眼を失明し、もう一方の視力が0.02以下になり、2級が認定された場合、後遺障害慰謝料は自賠責基準で958万円ですが、裁判基準では2370万円になります。
(1級の例) 両上肢全廃のため1級が認定された場合、後遺障害慰謝料は自賠責基準で1100万円ですが、裁判基準では2800万円となります。
このように、自賠責基準と裁判基準では、後遺障害の慰謝料が全く異なりますが、通常、加害者側の保険会社が提示するのは自賠責保険に近い金額です。
当事務所が依頼を受ける場合は、示談交渉のレベルでも必ず裁判基準により損害額を算定し、請求します。弁護士によっては、示談交渉レベルの際は、裁判基準よりも低い金額の慰謝料で示談することもあるようですので、事務所選びの参考になさってください。
後遺障害慰謝料の原則は前に述べたとおりですが、さらに増額が認められることもあります。 当事務所があつかった事案(後遺障害12級の事案)においても、ひき逃げをした加害者に対し、それを理由に裁判基準プラス100万円の慰謝料で示談したケースがあります。
このように、ひき逃げや無免許、酒酔い、著しいスピード違反、加害者の態度が著しく不誠実な場合等は、慰謝料の増額を主張していきます。
近親者の慰謝料
慰謝料は、事故の被害にあった本人が請求できるのが原則ですが、1級から3級の重い後遺症が残る事案においては、配偶者や両親、子ども等の家族にも慰謝料が認められることがあります。 この場合も、被害者側から積極的に請求をしない限り、加害者側の保険会社は支払いませんので注意が必要です。
死亡の場合の慰謝料
死亡の場合の慰謝料について 一家の支柱であるときは、2800万円
(2800万円から3400万円の幅)
母親、配偶者は 2400万円(2400万円から3200万円の幅)
子ども、独身の男女は2000万から2200万円(2000万円から3200万円の幅)
がベースとなり、個々の事情により増減されます。 相手方の事情も考慮されます。(酒酔い運転、スピードの出し過ぎ、不誠実な態度等)
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