保険会社提示の損害計算書の見方
保険会社から示談案が届いた場合、全体的に見てもその金額が正しいのかどうか、わかりにくいと思います。
保険会社の提示の示談案が妥当かどうか判断するには、まず、どこを重点的にチェックしなければならないかをきちんと理解しなければなりません。
保険会社が提示する損害額の計算はおおむね次の項目にわかれています。
①治療費
ここは、保険会社が直接医療機関に支払っている場合は、見なくてもよいです。実費そのものが支払われていることがほとんどだからです。
②交通費
通常は、1㎞あたりガソリン代15円で算出されます。ここはそれほど重要ではありません。弁護士が介入してもあまり変わりません。
③看護料
入院を伴う場合、看護料が発生することがあります。入院したからと言って常に看護料が発生するとは限りません。
裁判基準ですと、1日あたり6500円になります。1日あたりの金額がいくらで算定されているかチェックしましょう。
④その他の費用
入院雑費は、裁判基準ですと1日1500円です。1日あたりの金額がいくらで算定されているかチェックしましょう。
装具等の必要な場合は、実費がそのまま記載されているのが通常ですので、あまり重要視する必要はありません。
⑤休業損害
とくに主婦の場合は、ここもしっかり確認する必要があります。自賠責基準では1日5700円となりますが、裁判基準ですと9000円を超える場合があります。
⑥傷害慰謝料(入院・通院に対応する慰謝料)
ここは、しっかりチェックしましょう。多くのケースでは、1日あたり4200円の自賠責基準で算定されています。
弁護士が介入した場合に増額する可能性が高い部分といえます。
⑦後遺障害の損害
まず、後遺障害の損害は、後遺障害慰謝料と逸失利益の二つに分けて金額が記載されているかどうかを確認してください。
そして、二つに分けられている場合は①慰謝料の算定根拠が書かれているかを確認してください。この場合に、「当社基準」、「任意算定基準」などとしか書かれていない場合は、本来獲得できる金額より慰謝料がかなり低い可能性が高いと言えます。
②逸失利益の算定方法が書かれているかどうか確認してください。具体的な数式で計算していない場合は、本来獲得できる損害よりも低い可能性が高いと言えます。
「後遺障害の損害」としか書かれておらず、慰謝料と逸失利益を合わせて記載している場合は、自賠責から下りる保険金額そのものである可能性があります(つまり、弁護士が介入した場合と比較すると相当低い)
また、注意が必要なのは、自賠責保険が2つ使えるような場合です。この場合は、「通常の倍額」と記載されているのですが、実は、自賠責が倍額になっていても、弁護士が介入した場合よりも獲得できる損害額がかなり低いこともよくあります。
それから、「本件については、逸失利益はないものと考えられます」と記載されていることもありますが、それは単に「保険会社の意見」である場合もあります。ここは、本当に逸失利益が発生しない事案なのかどうか、検討する必要があります。
一通り、損害額計算書を確認して、疑問に思うところがあったら、当事務所にご相談ください。
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