下肢の障害
下肢・足指の障害については、①欠損、②機能障害、③変形障害、④神経の損傷があります。
①の欠損は、文字通り、ある部分がなくなってしまうことです。
②の機能障害、③の変形障害は、骨折等により生じます。
骨折した場合、部位によっては手術をし、ボルト等で固定することもありますが、部位によっては保存的治療をすることがあります。
保存的治療とは、安静な状態に保つことなので、
a 転位、変形治癒=本来くっつく位置ではない場所で骨がくっついた
b偽関節、仮関節=骨がきちんとくっつかず、折れたところが関節のように曲がる。
c 関節拘縮=関節が拘縮して、可動域が制限される
等の症状が起きます。
これにより、体が変形したり、今までよりも関節が曲がらない等の症状が出てきます。これが後遺障害にあたりうる症状です。
下肢及び足指の欠損障害
下肢の欠損障害はその程度によって後遺障害等級が変わります。
◎下肢の欠損の後遺障害等級
1級 両下肢を膝関節以上で失ったもの
2級 両下肢を足関節以上で失ったもの
4級 1下肢を膝関節以上で失ったもの
両足をリスフラン関節以上で失ったもの
5級 1下肢を足関節以上で失ったもの
7級 1足をリスフラン関節以上で失ったもの
5級5号 1下肢を足関節以上で失ったもの
◎足指の欠損の後遺障害等級
5級 両足の足指の全部を失ったもの
8級 1足の足指の全部を失ったもの
9級 1足の第1の指を含み2以上の足指を失ったもの
10級 1足の第1の指または他の4の足指を失ったもの
12級 1足の第2の足指を失ったもの、第2の足指を含み2の足指を失ったもの、または第3の足指以下の3の足指を失ったもの
13級 1足の第3の足指以下の1または2の足指を失ったもの
下肢・足指の機能障害
◎下肢の機能障害
下肢の機能障害は、下肢の各関節の運動制限(可動域制限の程度)とその部位によって、後遺障害等級が定まります。
①ここでいう関節は、股関節、膝関節、足関節(3つを下肢の3大関節と言います)を言います。
②「関節の用を廃した」とは、関節の可動域が原則として健側の可動域の10%以下に制限されている場合(完全強直)を言います。
つまり、障害のある方の関節が、障害のない側の関節の可動域と比較して1割以下になっている場合を言います。
③「関節の機能に著しい障害を残すもの」とは、関節の可動域が健側と比較して2分の1以下に制限されている場合を言います(10級)
④「関節の機能に障害を残すもの」とは、関節の可動域が健側と比較して4分の3以下に制限されている場合をいいます(12級)。
⑤8級に該当する関節の用を廃したものが、複数ある場合には等級があがって、一つの後遺障害が認定されます。
⑥動揺関節がある場合も、常時固定装具の装着を必要とする場合は8級、固定装具の装着の必要性が常時ではないときは10級、通常の労働の際には固定装具の必要がないが、場合によっては必要な場合は12級が認定されます。
下肢の機能障害の後遺障害等級は次のとおりになります。
*動揺関節とは、膝を例に挙げると、前十字靱帯や後十字靱帯を損傷した場合に発症します。つまり、関節は靱帯で固定されていますが、この靱帯に損傷があると今まで支えていた機能がなくなり、あるいは弱くなり、関節を締め付けておくことができなくなります。ですから、膝が安定せず、場合によっては固定装具(ソラスターブレイス)の装着が必要となります。
1級 両下肢の用を全廃したもの(股関節、膝関節、足関節の完全強直に加え、足指の障害がある場合)
5級 1下肢の用を全廃したもの
6級 1下肢の3大関節中の2つの関節の用を廃したもの
8級 1下肢の3大関節中の1つの関節の用を廃したもの
10級 1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの
12級 1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの
◎下肢の短縮について
8級 1下肢を5㎝以上短縮したもの
10級 1下肢を3㎝以上短縮したもの
13級 1下肢を1㎝以上短縮したもの
◎足指の機能障害
7級 両足の足指の全部の用を廃したもの
9級 1足の足指の全部の用を廃したもの
11級 1足の第1の指を含み2以上の足指の用を廃したもの
13級 1足の第2の足指の用を廃したもの、第2の足指を含み2の足指の用を廃したもの、または第3の足指以下の3の足指の用を廃したもの
14級 1足の第3の足指以下の1または2の足指の用を廃したもの
下肢の変形障害
下肢の変形障害は、その部位、変形の程度により後遺障害等級が定まります。
*大腿骨とは、股関節から膝までの骨を言います。
*脛骨(けいこつ)とは、膝から下の足の内側の骨を言います。
*腓骨(ひこつ)とは、膝から下の足の外側の骨を言います。
◎大腿骨、脛骨(けいこつ)、腓骨(ひこつ)の仮関節の障害
7級 大腿骨に異常可動性を有する仮関節を残し、硬性補装具を常に必要とするもの
8級 脛骨および腓骨に偽関節を残すもので、立位や歩行に時々、硬性補装具を必要とするもの
*仮関節=偽関節とは、骨折した後に、骨が本来くっつくべきところできちんとくっつかないために、ぐらぐらする、新たに関節のようなものができた場合を言います。
◎脛骨または腓骨の仮関節
8級 脛骨に仮関節を残し、立位や歩行に時々硬性補装具を必要とするもの
12級 腓骨に仮関節を残すもの
*大腿骨または脛骨の遠位端部の仮関節は12級
◎下肢の長管骨の変形
12級 大腿骨、脛骨が15度以上彎曲している場合
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