交通事故と健康保険
健康保険は、その第1条に、「この法律は、労働者の業務外の事由による疾病、負傷若しくは死亡又は出産及びその被扶養者の疾病、負傷、死亡又は出産に関して保険給付を行い、もって国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。」
と規定されています。
難しいことが書かれていますが、要するに、交通事故の場合も健康保険は使えるということです。
一般的には、交通事故の場合は健康保険(国民健康保険や組合健康保険など)は使えないという誤った情報が流れていますが、使うことは可能です。
また、病院の事務局でも「健康保険は使えませんよ」と言われることもありますが、これは誤りです。
ただし、病院にとっては、健康保険を使われるのはあまりうれしくないという事情もあります。つまり、健康保険を使わない場合は、「自由診療」といって、健康保険を使う場合と比較すると医療費の単価そのものが高い場合が多いのです。
健康保険は、1点あたりの単価いくらというのは国が決めていますので、病院が値段設定をすることはできませんが、自由診療は(極端な場合は別でしょうが)、多少高額に設定することができるのです。
もちろん、健康保険を使った場合、その保険の主体の市町村や組合が加害者に一定の割合を求償しますが、これは被害者にとっては直接関係ありません。
では、どのような場合に健康保険を使った方が良いのでしょうか?
一つは、加害者が自賠責保険しか入っていない場合です。もちろん、加害者に資力があればよいのですが、任意保険に加入していない人は資力がない場合が多いです。
(単に更新するのを忘れていたということもありますが)
そうすると、自賠責の傷害に関する限度額120万円は、ここから治療費、休業損害、慰謝料を出さなければならないので、できるだけ治療費を抑える必要があります。
つまり、治療費の支払を健康保険を使って低くすれば、休業損害や慰謝料も120万円の中から出る可能性があるということです。
二つめは、事故直後に自分の過失が結構あることがわかっている場合です。たとえば、3割、4割と自分に過失がある場合は、加害者側の保険会社は、自賠責の120万円を超える部分は、過失相殺により減額を主張してきます。
とすると、自分で治療費の一部を負担する必要性が出てくることもあります。健康保険を使えば、もともと単価が低いので自分が負担すべき治療費も低くなります。
なお、加害者が自賠責保険にすら加入していない場合(法律違反ですが)は、必ず健康保険を使うようにしましょう。
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