肩腱板断裂
1 傷病名
肩腱板断裂(かたけんばんだんれつ)
2 傷病の原因等
腱板は、加齢により、退行変性が生じます。広い意味でのいわゆる五十肩の中には腱板断裂も含まれます。高齢者の場合は、特に症状を感じていなくても、部分的に断裂していることもあります。
しかし、交通事故等の外部から強い衝撃を受けることで腱板が断裂することがあります。
3 症状
動かしたときに痛い、動かしたときは何でもなくても、後になって痛みが残る。後ろのものをとることができなかったり、肩を上げることができないという可動域制限を伴います。症状固定時に手を添えて動かせば肩はあがるけれども、添えた手を離した場合に、手が下に落ちてしまうドロップアームサインが見られます。
肩腱板断裂といっても、完全断裂の場合と全部が断裂したわけではない場合(不全断裂)の場合があり、不全断裂の場合は、症状は弱いと言えます。
4 治療の内容
保存療法が基本となります。三角巾等で肩関節を安静に保ちますが、断裂の範囲が広い場合や症状が重い場合は、手術が選択されることもあります。部位によっては、手術ができない場合があります。
腱板断裂は、見逃されやすい症状です。肩があがらない、激痛が走るなどの場合は、肩腱板断裂の可能性を考え、早期に、肩の部位のMRI撮影をすることが重要です。
事故から半年や一年経過してから、MRIを撮影しても、いつの時点で断裂したかがわからないので、事故と肩腱板断裂の因果関係が問題になることもあります。
最初の時点で肩の痛みについて医師に伝えておいた上で、MRIを早期に撮影することが重要です。
5 後遺障害
事故から半年経過した後に、症状固定となります。
可動域制限の程度に応じて、後遺障害8級、10級、12級に認定される可能性があります。
また、可動域制限等がない場合でも、痛みの残存の程度によっては、神経症状として12級13号または14級9号に認定される可能性もあります。
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