80代女性・無職・3級3号・約6000万円を回収した事例

1被害者の属性

80代女性、無職

2事故の態様

青信号で横断歩道を徒歩横断中に、交差点右折の普通乗用自動車が衝突

3傷害の態様

頭部外傷性認知症、両性慢性硬膜下血腫、左足関節脱臼骨折、左鎖骨骨折、左腓骨骨折等

4保険会社の提示

病院で症状固定の診断を受けた後、後遺障害の認定を受ける前の時点で受任のため保険会社からの事前提示はありませんでした。

5当事務所受任後の解決

受任後、相手方保険会社や病院からの資料収集を行った上で自賠責保険に対しての被害者請求を行い、頭部外傷後の認知症状について本件事故により生じたものであるとして3級3号の後遺障害認定を受けました。

 なお、慢性硬膜下血腫は、事故直後はなんともないように見えて、数ヶ月経過してから異変に気がつく事があります。本件もまさにそうでした。最初の入院で認知症的な症状がでましたが、これは高齢者にはよくあることで、退院により症状は消えます。

本件は、いったん生じた認知症的な症状が時間の経過とともに再び発生してきた点が通常とは違う流れでした。

 当初は、相手方は後遺障害と事故との因果関係がないとして争いました。本人の家族も多忙であったため、なかなか打ち合わせ等の時間もとれず、準備に時間がかかりました。時効の問題が生じることや相手方の弁護士時効期間が経過したときは時効の援用をするとの事前回答もあり、消滅時効を避けるため、交渉無しで訴訟提起をしました。

本人が認知症状を理由とする後遺障害認定を受け、また症状固定後も症状の進行が見られたこともあって、訴訟を行うにあたり成年後見人の選任を家庭裁判所に申立てた上で、事故の損害賠償について訴訟を行いました。

訴訟では、本人の症状の程度や認知症状と事故との因果関係、事故による介護の必要性やどの程度の介護負担があるのか等といった点が主たる争点となりました。事故から時間が経過し症状が進行していたこともあり、今後の介護負担についての資料として症状固定時点での資料である医療記録の他にもその後の施設の利用状況等を施設を訪問聴取し施設利用記録を裁判所に提出、また親族による実際の介護の様子を動画等で提出する等して実態を裁判所に伝え介護の必要性を裁判所に訴えました。

訴訟を開始してから約3年と長期の係争となりましたが、最終的には和解で解決となりました。和解では親族による介護の必要性が肯定され、最終的には治療費等の既払金を除き本人の損害及び近親者の慰謝料をあわせ約4100万円、先に受領していた自賠責保険金と併せ合計で約6000万円での解決となりました。

 

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